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BeLoved.
第42章 【紳士なんかじゃない】
今の状況を、軽く整理すると。
こたつに下半身を突っ込み、仰向けに横たわるわたしの両側には、彼ら。
右手側には麗さまがいて、左手側には流星さまがいる。
「どこまで起きねーんかね」
その疑問符は、左側から聞こえた。そしてそれはすぐに…言うならば、無邪気なものに色を変える。
「試してみねー?」
「なにを」
「未結起こした方が負け」
…なんですかそれ…
「やる意味あんの?」
ていうかさっさと出てけ。今日は俺の日。お前邪魔。
右側から淡々と放たれる言葉のナイフの数々。
しかし言い出しっぺは(慣れてるのよね)全く動じない。
「あー、ほら。やっべー」
微かに聞こえた衣擦れの音。流星さまが身動いだらしい。足でも痺れた?それとも、気が変わった?
「勃ってきた」
「知らねぇよ」
……。
「さっさと部屋か便所行って抜いてくれば」
「でも何かマスかく気分じゃねーんだよな」
「オナニー野郎が今さら何ほざいてんだよ」
……男の人って、男同士だとこうもあからさまなの?
それとも、長い付き合いだからこそ…?うーん…
「(っ!)」
ふいに顎の下を指先がくすぐった。…誰?どっち?
油断してたから全く掴めない。
「──でも、楽しそうかもね」
…麗さまだ。手の甲が頬に当てられてる。
そして心做しか彼の声色も変化してる…。
「勝ったら連続で自分の日ってどーよ」
「乗った」
…話がまとまってしまったようだ。
ふたりは揃って同じ台詞を口にする。
「俺が勝つけどね」
本当にこの人たちは…どこまでも張り合う。
それこそ、子供。ただの『男の子』みたく。
──────────
勝敗が絡んでしまった今、ますます起きられなくなってしまった。
どちらかに触れられている時に目を開けば、その彼の負けになってしまう。どちらを勝たせる訳にもいかないし…どうしよう。
それに…
「ん…ッ!」
視界を奪われ(いや、自分から塞いでいるんだけど)前後左右どこから触れられるかわからない状態。それは、否が応でも感覚を鋭敏にさせた。
「…あ、今声漏れた。起きたんじゃねぇの」
「よく見ろよヘタ麗。熟睡してんじゃん」
耳の筋を指先がなぞる。形に沿うように、ゆっくり。
普段なら擽ったいだけのそれも、今はもう…愛撫でしかなくて。
「〰〰…」
『後悔先に立たず』それを痛感したのだった。