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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】
「…未結ごめんね、また怖がらせたね」
いつの間にか麗さまは立ち上がっていて、わたしの背後へ歩み寄ってきていた。口元は押さえられたままだ。
それでも、くぐもった声は穏やかだった。
「…何があ…っ…?!麗さま、鼻血…っ?」
彼の指の隙間から、赤黒い痕が垣間見えた。
焦るわたしとは対照的に、麗さまは平静で。
「大丈夫だよ。どこも折れてはないから」
「そういう問題じゃ…ひゃああっ?!」
離された彼の掌には白い粒のようなものがあった。
…歯だ。
それを目にした瞬間。わたしはパニックに陥った。
「やっ、ちょ…っ、あっ…、き、救急…っ!」
「大丈夫だから落ち着いて。朝飯できたら呼んでね」
一人で騒ぐわたしの頭を、反対側の手で軽くいつもみたくひと撫でして。麗さまもリビングを出ていってしまったのだった。