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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】
「ご馳走様でした。ちょっと出てくるね」
「…。行ってらっしゃいませ…」
麗さまは黙々と朝食を平らげると軽く身支度を整え、何処かへ出掛けていった。行先は告げられなかったし聞かなかったけど、恐らく羅々さまの歯科医院だろう。
──結局いさかいの原因は何だったんだろうか。
一人になって。食器を洗いながらぼんやり考えていると…玄関のドアが開いた音がした。
…麗さまもう帰ってきたんだ。ずいふん早いな、忘れ物かな。水道を止め、濡れた手をエプロンで拭きながら。廊下へ続く方の出口からキッチンを出た。
「麗さまおかえりなさ…え?」
「はずれ。俺でした」
驚いた。そこにいたのは流星さまだったのだ。
「ただいま」
「どうされたんですかっ?具合でも…?」
嬉しい気持ちもあるけど、心配の方が大きい。…今朝のこともある。なにより、例の写真のことも。
若干緊張しながら、渡されたスーツの上着を受け取りハンガーに掛けながら尋ねた。
「いや?元気。未結に会いたくて帰ってきた」
「…真面目に聞いてるんですっ」
「あれ、俺超真面目に言ってんだけど」
ネクタイを外しながらそう言う顔は、いつもの悪戯な笑顔。顔色もいいし、どうやら体調不良ではなさそう。…機嫌も直っているみたい。
「ごはん、食べられましたか?何か作りましょうか」
「いらねー。腹減ってない」
「あ…そうですか…わかりました」
ちょっと拍子抜け。でもそう言われては仕方ない。
さて、お皿は洗い終わったから…次はお風呂掃除だ。エプロンの紐を結び直し、歩き出そうとした時だった。
「あ、未結」