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第44章 【彼の根底にあるもの。2】
「いただきます」
朝ごはんの時間。
三人で食卓を囲むいつもの光景。
『──今日の運勢、一位は射手座のかた!』
惰性で点けていたテレビは星座占いの時間になり、今日の運勢を告げていく。
『──射手座のラッキーパーソンは、今日がお誕生日の人!続いて第二位……』
12月20日生まれ、射手座のわたしは今日、一位らしい。
とはいえ、占いは特に信じる方じゃない。聞いてはいるものの、内容は右から左に聞き流していた…ら。
「へー。お前じゃん」
「えっ?」
ふいに、声が上がった。
声の主は流星さま。わたしに言ったのかと思い顔を向けたけど、彼はわたしを見ていない。
「今日誕生日の奴って」
「…何で覚えてんの?」
流星さまの視線の先には、麗さま。今日は、4月8日。誕生日……たん……
「えええっ?!」
─────────
「何で教えてくれないんですか!お祝いしなくちゃ!」
「いや、要らないよ?」
「俺様がケーキ買ってきてやろーか?麗くん」
「…だから要らねぇって」
食後のお茶を入れながら、軽くぶーたれるわたし。
テーブルに頬杖をつき、ニヤニヤしている流星さま。
わたし達をあしらいながら、眉間を寄せる麗さま。
その時、ふと気がついた。
「あっ、だから"麗"なんですね!男の人には珍しいなと思ってたんですけど…桜が咲いて、穏やかで、麗らかな季節に生まれたから!」
「違うよ」
麗さまの名前の由来。…だと思ったんだけど、一瞬の間も空けずバッサリと否定されてしまった。
「丁度いーんじゃねーの?未結にあの話してやれば?」
「?なんですか?」
「こいつが"麗"になったいきさつ」
首を傾げたわたしを一瞥し、麗さまはカップを置いた。ふう…と軽く息をついたあと、あんまりいい話じゃないけどね、と前置きし語り始める。