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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】
「ほら」
「ん…!」
導かれるまま再度重なりあう唇。本来26㎝の身長差があるわたしたちだけど…この体勢で目線はほぼ重なり、距離はぐっと縮まる。
「ねえ、もっとちょうだい?未結」
「……っ」
それに加え、この…ねだるような口調。彼がわたしを求めているのが率直に伝わり…下腹部がきゅんと疼いた。
「は…ぅっ…」
彼のキスはいつも甘くて美味しい。しかもこれは、わたしにだけ赦されたこと──そう思うとたまらなくて。
とろけた表情を晒し出すことも厭わず、ただただされるがまま溺れていった。
唇の端からだらしなく滴り落ちた唾液を、彼の舌が拭い取っていく。鎖骨から、首筋を遡って、ゆっくりと。生暖かさと…まるで生物が這うようなゾワゾワとした感覚を刻みつけながら。
「…おいしい」
…呟かれたその言葉は、毎日の食事でも耳にしている慣れたはずのもの。でも今はとてつもなく扇情的で──艶めかしかった。
──食べられてる。そんな錯覚すら覚えるくらいに。
…気持ちよすぎておかしくなっちゃったかな…わたし…
「っ、ふ…、…うぅんっ」
何度目かの侵入を果たした舌にわたしのそれは絡み捕まれ、いとも簡単に彼の咥内へと連れ去られしまう。
弱い力で噛み付かれ、柔い力で吸い付かれ、甘い力で絡み付かれて。身体は内側からどんどん火照らされ、芯を失くしていく。
咄嗟に彼の首に両手を回して抱きついた。倒れ込んでしまわないように……ううん、違う。
『わたしだけ』に赦された彼の行為と、この気持ちよさから…一瞬たりとも離れたくなかった。
「あっ…?」
──なのに、彼の方から離れてしまった。やだ、やだ。どうして?もっと欲しいのに。「もっとちょうだい」って言ってたのに。…縋るように向けてしまった目線の先には…多少呼吸は荒くしているものの、表情にも瞳にも、まだ平静さを保った彼。
どちらのものかわからない唾液で濡れた唇を舐めながら、親指の腹を、わたしの──彼の唇と全く同じ状態の唇に触れさせた。
「キスするの好き?未結」
「…すき…、らぃすき…」
「もっとしたい?」
「らぃ…っ、したぃ…っ」
繕う余裕のなさは本心を素直に口にさせた。──そう、今度はわたしが、ねだるように。彼は小さく笑うと…瞳に艶を宿らせ命じたのだった。「ちゃんと言って」と。