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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】

「俺でいっぱいにしてあげるね、未結」


その言葉は、独占欲の集大成。

すぐにわかった。…このまま達するつもりだ!

「ま…っ、て、麗…、待って!やめて…っ」
「だめ」

制止の声は届かない。むしろ彼の動きは速まり、わたしを捕らえる腕にも力が籠ったのがわかった。それこそ…骨が軋む音がするまで抱き寄せられて。

「未結の"はじめて"は全部俺のものなの」

艶と…有無を言わさぬ威圧感を纏った低く甘い彼の声は…彼の分身以上に、わたしの深部に入り込んだ。

「──やあぁっ!こわい…っ、こわい!!」

噛まれた時よりももっと…本能的な恐怖に駆られて。首を左右に振って泣き叫んでも…関係ない。

彼は止めるどころか、吐射感に駆られるまま、本能に突き動かされるまま、『わたし』を喰らい尽くしたいという思いのまま、最奥を犯し続けた。…甘やかしてくれながら。それは、恐怖すらも溶かしてしまうもので…

「やあっ…、やらぁ…っ、らめ…っ…、あ…っ」

だめ、なんて拒絶でも抗議でもなくて。流れ続ける涙も、もはや恐怖よりも悦びのためのものでしかなくて。

「っ…大好きだよ、未結…」
「…たし、も…だいすき…!だから…っ…」

──全部ちょうだい──

彼が口にした、彼の望み。だけど本当に望んでいたのは…
…わたしだったのだ。

「──!」

ぐん、と一際大きく奥を突かれた直後。密着した彼の全身が小刻みに震えた。…わたしはそれが何か、よく知っている。
愛し合った果ての──瞬間。

身体の奥の奥までを愛し尽くされた感覚が拡がる。
…こんなの初めて…

「…ひ!あっ…やあん!」

彼が少し身動いだと同時に、隙間からドロリとしたものが溢れ出して。総毛立つような感覚に声は漏れ…震えてしまう。
そこに静かに射し込む、彼の言葉。

「未結」
「……」
「俺を見て」

──彼のそれは命令ではなく、ねがい。

「愛してる」
「……ぁ… 」

そして与えられたのは、キス。
貪るようなものじゃなく、唇を重ねられただけのもの。それでも…深く、包み込まれるような優しさだった。

「…未結」

離された唇が告げたのは…想像の斜め上をいく言葉。

「このままもう一回してあげるね」
「ぇ…」
「もっともっといっぱいにしてあげる」

結ばれたままだった彼は…わたしの中で再び存在を増したのだった。
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