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BeLoved.
第11章 【君しかいらない】
「ま、どーでもいーわ」
「りゅっ…え…」
その先にのページには寄せ書きやらもあるのだけれど。見るまでもなく興味は逸れてしまったらしい。流星さまはアルバムから手を離し、乗り出していた上半身を背もたれに預けた。
「流星動かすな。写真撮ってんだから。手元狂うだろうがボンクラ」
「れっ…、ぇ?」
撮影画面になった携帯を構え、わたしの写真が載るページに近づけたり遠ざけたりしている麗さま。納得のいくアングルを探しているようだ…
「写真の写真撮るって相当だろ。俺は実物の方がいいけど。…ほら」
「っ、あ」
麗さまに視線を移した隙に、死角から伸びてきた手がわたしの二の腕を捕らえていた。
「おいで」
「………っ」
引き寄せられ、そのまま膝の上へと導かれる。
向かい合って座る形になったわたしに与えられたのは…キス。
「んん……っ」
首の後ろと腰に手を回され、逃げることができない。…すぐ隣に麗さまがいるのに。
「…お前の日だから止めないけど。やるなら部屋でやれ、部屋で」
耳に入るのは数回のシャッター音と、冷静な声。気のせいか後半の方が少し、低めだった。
「ぁっ…、は……」
瞬間、キスが途切れた。唇が触れ合うだけのものだったのに、わたしの腰はざわついている…
「…すげー、もう目潤んでる」
流星さまは親指の腹をわたしの唇に触れさせ、そっとなぞらせた。
…彼の声と瞳にも、興奮が滲み出ている。
「じゃ未結、行くか。あれは俺もういーや。麗にやる」
「え…?…きゃっ」
『あれ』アルバムはテーブルに残したまま、流星さまは立ち上がった。わたしを腕に抱いて。
落ちてしまわないよう、反射的に首に腕を回し抱きつく。
「…あ、違う女入った。…削除」
下の方から響く、何度目かわからないシャッター音のあとに、独り言。麗さまは撮影に没頭している。
部屋に向かうため廊下に出た流星さまは、リビングのドアを閉めようとする。
その間際。偶然にしてはできすぎだけど…二人は同じ言葉を呟いた。
「俺は未結しかいらないんだよ」