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第13章 【玄関閉めたら二人の世界】

この暮らしを始めて一ヶ月ちょっと。そろそろ最初に揃えたものが色々底を尽いてきた。調味料に洗剤や入浴剤、ペーパー類等々…。

元々まとめ買い派のわたし。ここでもそれが抜けなくて、そろそろ買い出しに行かなくちゃと思っていた、ある日。
携帯が鳴ったのはお昼過ぎのことだった。掛けてきたのは流星さま。これから帰るという連絡だった。

こんな早い時間に帰宅できる。激務の彼が休息を取ることができる。
わたしにとってはそれだけでも十分嬉しいことなのに、買い物に出ようとしていたことを告げたら一緒に行こうと言ってくれた。

そして、現在。時刻は午後5時。
買い物を済ませたわたしたちは、無事に帰宅を遂げたのだった。


───


「ありがとうございます!助かりました」

彼が車を出してくれた上に荷物持ちになってくれたおかげで、足りなくなっていたものが一気に補えた。
玄関ドアを開け、外開きのそれが閉じてしまわないように自分の体で押さえて。両手にいくつもの買い物袋を下げた彼を、先に中へと通した。

「全然いーって」

床に引かれた玄関マットの上にそれを置いた流星さまは、すぐに踵を返してわたしの所に戻り、「ありがとな」とドアを押さえてくれた。

「ほら。入っておいで」
「あ…、すみません」

背中に響く、ドアが閉まった音。ふたりきりになった空間。靴を脱ぎ玄関を上がると、廊下の照明のスイッチを入れた。

流星さまは着ていたスーツの上着を脱ぎ、わたしに手渡す。受け取ったそれをハンガーに通し、壁に備え付けのコート掛けへ。後でお部屋に戻さなきゃ。わたしも着ていた羽織りものを脱いで、その隣に並べた。


「あ…麗さまは今夜、お泊まりでしたね」
「未結」
「お夕飯どうしま……、え?」

台所に向かおうとしたら呼び止められ、そのまま背後から包み込まれるように抱き締められてしまった。
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