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BeLoved.
第13章 【玄関閉めたら二人の世界】
「んんっ……あ……」
避妊具越しでも、わたしの中で精が放たれているのを感じる。
わたしのなかで彼は脈打っている。
「…っ!」
「っあ、うぅ…っ!…ん!」
…少しでも自分の痕跡を残したいのか、彼は吐射したばかりの自分自身を突き立てた。一度ならず、二度、三度…。
「あ、あっ…あぁ……っ」
絶頂を迎える前の、刺さるような固さは多少和らいでいたものの、それは、彼の激しさを受け入れた直後のわたしには刺激が強すぎた。
突かれる度にぴくん、ぴくんと、意思と関係なく体が跳ね、悲鳴にも似た声がか細く漏れる。
「抜くよ」
「んん…っ!…はぁん…っ…あっ…」
わたしを支配していた彼は出ていった。…この瞬間にいつもわたしが感じるのは、解放感よりも淋しさだ。内側から、深い部分から全身を満たしてくれていたものが無くなるから。
…たぶん今も縋り付くような眼差しをしていたと思う。彼の死角で。
悟られぬようすぐに目線を逸らしたけれど。
そのまま力なく床に伏せ横向きになった。
こんな…玄関で、最後まで、なんて。
しかも今日は、彼の日ではないのに…。
あがった呼吸も、頬の紅潮も、彼がわたしのなかにいた感覚も余韻も、なかなか引かない。決して不快じゃない。むしろ…あぁだめ、全身に力が入らない。
もうちょっと気を抜いたら、このまま寝入ってしまいそう…回らない頭で、ぼんやりとそんなことを考えていた時だった。
「未結」
「…っ」
ふいに耳元に声が響き、わたしは小さく肩を震わせた。いつの間にか自分の始末を終え、衣服も直し終えた彼は、横向きになっているわたしの背後に座り、顔を寄せてくる。
「っ、んん……ぁ」
まだ敏感さが衰えていない。声と共に吐息がかかり、一気に頬は紅潮した。
呼び掛けに返事をしたくても、舌が回らない。わたしにできたことは辛うじて、顔を声のした方に向けることくらい。そんな状態のわたしを見て、彼は可愛い、と小さく笑った。
「愛してるよ」
…そしてそう囁いて、キスをしてくれた。
手を添えられてゆっくりと抱き起こされ、その胸に収められる。
優しいキス。優しい手。
こんな場所で求めてきて、あんなに激しくわたしを抱いた人が。
同じ唇で、手で、こんなにも優しくわたしを包む。
…変な感じ。でも、嫌じゃない。嫌なんかじゃない。
だってわたしはそれを望み、歓んでいる。
……。