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BeLoved.
第15章 【30cmの壁】
今夜は流星さまがご主人様。
夕食も入浴も家事も終え、揃って彼のお部屋へ。けれどもわたしの視線は、テレビの画面に釘付けだった。
──────────
「…どうしても見たいんです…」
「別にいーけど?」
予告の段階から見たいと思っていた番組。
ダメもとで聞いてみた。
録画しろ。と言われるかと思ったけど、結果は意外にもあっさりOK。
2人でベッドに乗り、わたしは縁に腰掛けテレビに夢中。流星さまはわたしの後ろに横たわり、本を読んでいた。
持参した自分の枕を抱き締めながら、食い入るように画面に見入る。
場面はちょうどいいところでCMに切り替わった。あぁもう!早く結末を見たいのに。ぶーたれつつも眺める。
見覚えのある柔軟剤。我が家でも使っているレ○アに、新しい香りが出るらしい。風にはためく衣類が写し出された時だった。とんでもないことを思い出してしまった。
「!いけない!干しっぱなし!」
外干ししていた洗濯物があったんだ!
ハッとして立ち上がった直後だった。
「っが!!」
頭に何かが当たった衝撃のあと、異音?異声??…からの、何かが倒れ込む音?が、背後から響いた。
「!?」
恐る恐る振り返ると…そこには…顎を両手で押さえ、背中を丸めて悶絶する、流星さまの姿が……。
「…え……えええええっ?!?だっ…だだだだ大丈夫ですか?!り、あの、りりり流星さま?!」
当然、パニックに陥ったわたしは大声で呼び掛けた。
彼は右手は顎に添えたまま、頭と左手を左右に振る。…大丈夫じゃない…って、ことね…
えっと、これは……わたしの頭が、この人の顎を直撃しちゃった…んだよね?
でも…何で?どうして?離れてたはずだったのに。…??どうして??
ともかくわたしが彼を痛めつけてしまったことには違いない。その罪悪感で半泣きになりながら、ひたすら「ごめんなさい」「大丈夫ですか」を繰り返すしかなかった。