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LaundryHeavenly.
第13章 Heavenly.13

『今夜はお嬢様と居たい』

私のその申し出を彼は快く受け入れ
今夜一人になることを許してくれた。

私にとってのサラサお嬢様は
どれだけ大切な存在であったか
それを理解してくれているから。

酷い事をしていると思う。
彼にも彼らにも…お嬢様にも。

『お嬢様のそばにいたい』それを私は恰かも
『ここで過ごす最後の夜だからそうしたい』
そう匂わす言い方をしたからだ。…嘘なのに。

今はもう、夜と呼べる時間帯だ。
雨は強くないが止む気配はない。

今ならば闇と雨に乗じられる。
誰にも見つからず姿を消せ…

「レノ」
「、はい!」

見透かされたか。緊張で強張った腕を
彼は無言で取り、手に何かを握らせた。

「これを」
「…!」

預かっていて欲しいと渡されたそれは。
彼が己を傷付ける為に用いた刃だった。

折り畳み式で小さく軽い筈のそれは
彼の全てを受け止め続けた重いもの。

断ち切れそうだと彼は言った。
お前のお陰だと。…苦しかった。

「明朝また来る」
「…はい」

目を伏せた私は、ドアが閉められた音で
自分が独りになった事を知ったのだった

──

どれだけ時間が経ったか。私は寝台を出た。

私は丈夫が取り柄。適応力も回復力もある。
満身創痍だった状態から、ほんの数時間で
かなり動けるようになっていた。…皮肉だ。

私に有り余る恩義を与えてくれた彼らから
逃げ出すために一役買ってくれるなんて。

「…?!痛…っ…」

そんな矢先、突然走った下腹部の痛み。
思わず床に膝をつき蹲ってしまった。

慣れ親しんだ痛み。内股をつたう
生暖かい感触。…月のものだった。

「うそ……」

終わってから日は浅い。しかも何故今に。
…もしやこれも殺精子薬の影響だろうか…

着の身着のままの姿とはいえ
後は外に飛び出すだけなのに…

締め付けるような痛みに苛まれる腹。
そこに手を当て収まりを祈り続けた。

その時だった。背後でドアが開く音がした。
…まさか、彼らの誰かが?振り向いた先には

知らない男がいた。

年の頃は私と同じくらいと言った所か。
膝丈の軍服に包まれた均整の取れた体。

夜闇の様な黒い髪。狼の様に鋭い灰色の瞳は
突き刺す如く私を見据えた。

「…あ?なんだてめぇは」

低く冷たく底知れぬ悪意を孕んだ声。そう───


『一度襲った場所に再来する』


────王子。
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