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LaundryHeavenly.
第15章 Heavenly.15
私が11になった日の夜。
旦那様は私の寝室に現れました。
声を出すな。静かにしていろ。
怖がるな。自分に身を委ねろ。
私の服を脱がせながら、そう命じられました。
従い尽くすことが当然だと思っていた私は
逆らう事も歯向かう事もできませんでした。
旦那様は私を犯しました。
私から流れる血を潤滑油代わりにし、何度も。
そんなことが幾夜も続きました。
同じ部屋で寝ていた両親は知っていました。
私が旦那様に何をされているのかを。
それでも両親は、旦那様を止めることも
奉公先を変えることも、私を守ることも
しませんでした。
恨んでなどいません。『従い尽くす』ことは
彼らにとっても当たり前のことで
それが生きていく術だったのです。
そのうち私のお腹には…サラサが宿りました。
旦那さまとの子供です。
奥様は持病の為、子供を望めない体でした。
お慈悲を頂き、生まれ落ちたサラサは
旦那さまご夫婦の娘として
迎え入れて頂くことができたのです。
私もそのままお屋敷に
置いて頂けることとなりました。
本来なら、殺しても飽き足らないはずなのに。
奥様には感謝してもしきれません。
お嬢様と奴隷。
母親として名乗り出ることは許されません。
それでも間近で成長を見続けることができる。
サラサはご夫婦から愛情を受け
何不自由なく育っていける。
こんな幸せなことがあったでしょうか。
このまま願わくば、サラサが大人になり
いつか誰かと結ばれるまで
お傍に居させて頂くことができたなら。
それが私が生まれて初めて抱いた
たったひとつの願いでした。
でもそれはもう永遠に叶いません。
だって私のサラサはもういない。
この男が…王子が全て奪ったのです。
『あの日』から。私の思いはたったひとつ。
『サラサを殺した王子を殺す』
それだけ…それが私の生きる糧となりました。