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LaundryHeavenly.
第15章 Heavenly.15
『私が決める』
全てを失う前の私には
考えられなかったこと
従い尽くすことが全てで
命じられるまま生きる日々
何の疑いも抱いたことはなかった。
家畜の世話をし掃除をし食事の支度をして
旦那様や奥様、お嬢様の身辺の準備を整え
彼らが目を覚ます前にすべてを
最高の状態に仕立てあげておく。
そんな『いつもどおり』の朝を
毎日迎えていた。
ただただ従い尽くしてきた。
昼間はお嬢様のために
…夜は旦那様のために
『私が決める』ことなど
何ひとつとしてなかった。
それが全て覆されたのは
まぎれもない『あの日』
─────そうだ。
全てを失ったあの日
私は一度死んだのだ。
私を救ってくれた45部隊
彼らといる
娼婦になる
部隊を去る
王子を殺す
全て『私が』選び
『私が』望んだ道。
全て『私が決めた』ことだ。
両親はもういない。旦那様ご夫婦も
…サラサも。
だから、私は───
…………
「──それがお前の答えだな。レノ」
3人から目を逸らすことなく
私は『その言葉』を口にしたのだった。