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LaundryHeavenly.
第2章 Heavenly.2
「──幸い、と言っては語弊があるかもしれないが、隣家とは距離があったお陰で被害は君の屋敷のみだった。我々は五名の遺体を収容し、教会の許可を得て埋葬させてもらった」
五名。
父と母と、旦那様ご夫婦。そしてお嬢様だ…
…ご両親と一緒ならば、淋しくないですね…
お嬢様の所在がわかり、少し。
ほんの少しだけ、心が軽くなった。
でもこの悲しみと喪失感が癒えることは
永遠にないだろう……。
お嬢様はもういないのだ。
「って、ねえ!ブライト!大事なこと忘れてるよ!」
突如ハイジさんが大声を張り上げ、
ブライトさんの肩に手を乗せ
ひょっこりと顔を出した。
「この子の名前!」
彼が指差した先は…私。そうだ。
お礼どころか、名乗ってすらいなかった。
もう、頭痛もめまいもかなり楽になってきている。
私はゆっくり上体を起こすと、三人の方を向き直った。
「申し…遅れました。私は……レノ…です。…ソフナーです…」
「 ! 」
私の言葉に、ハイジさんを始め皆が一様に
驚いた顔を見せた。
奴隷階級ソフナーの人間は、名乗るときに自らが奴隷だと明かさなければならない。
その掟に従ったまでなのに…?
「君、奴隷なの?あのおちびちゃんのお姉ちゃんだと思ってたよ」
ハイジさんが目を丸くして言う。
おちびちゃん…お嬢様のことか。
……姉妹なんかじゃないのに。
「だって奴隷にしちゃ」
「──ハイジさん」
ハイジさんが言いかけた言葉をナノさんが遮った。
ブライトさんも私から目を逸らし小さく息をつく。
…どうしたんだろうか…?
「…あの屋敷は奉公先か。…とにかく今は休め。体力が回復したら、五名が眠る場所に案内する」
ブライトさんはそう約束してくれ、
大きな掌で、頭を優しく撫でてくれた。