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LaundryHeavenly.
第2章 Heavenly.2

そこにいたのは、二人より年長とおぼしき男の人。

短く刈り込まれた白に近い銀髪と
吸い込まれそうな深緑色の瞳が、印象的だった。


「──まず、我々について。我々はエスペシャルクロース王室軍、第45部隊。私は隊長のブライト」

三人しかいない隊だけどねー。と、
ハイジさんが苦笑しながら口を挟んだ。

ああ、この人が隊長さん…。
言われてみれば、他の二人とは少し雰囲気が違う気がした。
上手くは言えないけど……。

「…今茶化したのが、ハイジ。そして君を看病していたのが、ナノ」
「ぁ……」

そうだ、私はまだお礼を言っていない。
私から見て足の方に、腕を組んで立っていたナノさんに顔を向けたが、彼は私の視線を避けるように目を伏せた。

ブライトさんは続ける。

「君の屋敷が攻撃されたのは三日前。我々がこの地域に送り込まれた日の夜だった。敵国"アンクリーネス"の第三王子。この男が君の屋敷を砲撃したんだ」
「……?!、どうして…」
「理由はわからない。王子が民間人に危害を加えたのは、これが初めてだ」

18歳の第三者王子は、好戦的とはいえ…否、好戦的だからこそ
『わきまえて』いた。
力で圧倒的に劣る民間人を標的にすることなど
今まで無かったというのだ。

「人間殺しすぎて、感覚狂ったんだよ。純粋に"殺し"を愉しみ始めてる」
「…バカ王子が」

ハイジさんの言葉に、ナノさんは
心底忌々しげな口調で吐き捨てた。

「…そんな……」


王子は好戦的だと聞いた。
王都は断続的に攻め入られ
戦況は泥沼化しつつあるとも。

でも、私には関係ないと思っていた。
そう、私には、関係、ないと…

でも、もう違う。無関係じゃない。

私のお嬢様は殺されたのだ。
王子の快楽を満たすために。

なんて残酷で、無慈悲な運命なのだろうか…

身体は乾いているはずなのに。
一度は止まったはずなのに。
涙がまた、とめどなく溢れ出してきた。
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