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LaundryHeavenly.
第5章 Heavenly.5
「君はここで僕らと寝る。ちなみに、一番大事な仕事って、なんだと思う?」
唐突に投げ掛けられた問い。
一番大事な仕事…?
そんなの決まっている。
『皆さんに満足していただく』
私はその通りに答えた。
「ブー。はずれ。"守秘義務"だよ」
明かされた答えは耳慣れない言葉だった。
…しゅひぎむ?何のことだろうか。
「"業務上知り得た秘密を守る"ことさ。外部に漏らされるのが一番怖いの。下手したら命に関わるから」
私の目前で立てられた、彼の人差し指。
話し続けるハイジさんの表情は至って真剣だった。
「ましてや君は一番繊細な部分を司る職種だ。僕らもついポロっと漏らしちゃうかもしれないじゃない?とにかくね、"ここ"で知り得たことは、何があっても一切他言無用だよ。"あっち"なんか下手くそでいいの。むしろその方が燃えるから。ねー、ナノ」
「…振らないで下さい」
独特のにおいが鼻をつく。消毒薬を染み込ませた布で治療に使用した器具を払拭しながら、ナノさんは心底迷惑そうな顔をした。
「ま、レノちゃん安心して。専属娼婦の身柄は、生来の身分に関わらず軍事法で手厚く保護されてるから。ある意味国家公務員だし?」
「…それには上層部への申請が必要ですよ。"隊長から"の」
「それなんだよ問題は。せっかく腹決めてくれたレノちゃんを、モグリにさせるわけにいかないじゃない?ブライトも素直になってくれりゃいいのにねー」
何やかんやと会話が飛び交う。
そんななか私は一人、言われたことを反芻していた。
守秘義務。そして、ブライトさんは私が娼婦になることを認めてはいないこと。
どうすればよいのだろうか。
考えあぐねているうちに、時間だけは刻々と過ぎていった。