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LaundryHeavenly.
第5章 Heavenly.5
「…もう殴られるのが好きとしか思えませんね、ハイジさん」
「ちーがーうって。僕は口から生まれちゃっただけなの。……っあー、奥歯グラッグラじゃん。はは、最悪」
殴り付けられ、口元に傷を負って間もないと言うのに、ハイジさんの調子は全く変わりなかった。
床に胡座をかいて座り、ナノさんの治療を大人しく受けている。
これもまた、彼らにとっては『いつもどおり』なのだろう…。
「ま、ほら。うちには優秀な衛生兵がいるし?そうでなくても美形は顔の治りが早いから。だってほらナノ、昨日の」
「…もういいですか?貼りますよ」
いささか杜撰な手つきで、ナノさんは絆創膏のようなものを貼り付けた。
そしてぱんぱん、とやや強く叩きつけ、「終わりましたよ」と短く告げる。
「はいどーも。それじゃ、レノちゃん。改めて仕事の話をするよ」
そう言うとハイジさんは私のいる寝台へと歩み寄ってきた。
仕事の話。…また体に触れられるのだろうか。
つい数時間前の姿態を思い出し、体が硬直してしまう。
しかし意に反してハイジさんは、人一人分くらいの隙間をあけた距離に、腰を下ろしただけだった。
「君の"職場"はここ。この寝台が君のお城」
ぼふ、と掌で敷布を叩きながら、ハイジさんは話し始めた。
…どうやら本当に、『話』だけみたい。
私の体の緊張は少しずつ解けていった。