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LaundryHeavenly.
第6章 Heavenly.6
「何処行ったんだろーね?うちの隊長さん」
あれから、さらに数時間。夜の帳が下りる頃。
私達は、共有テントの中で思い思いに時間を過ごしていた。
私は寝台に腰掛け、誰かの破けてしまったシャツを繕っていた。
少し離れた位置に、それぞれ胡座をかいて座っているハイジさんとナノさん。
ナノさんは足の上に金属製の箱を乗せ、医療具だろうか。カチャカチャと音を立てながら中身を点検している。
ハイジさんは指に毛先を巻き付けて遊びながら、あくび混じりに呟いた。
彼の視線の先には、小さな木箱の上に置かれた皿。今夜の夕食である野菜スープだ。すっかり冷めきってしまったそれは、未だに帰ってこない、ブライトさんのためのもの。
「レノちゃんごめんね。せっかく美味しいの作ってくれたのに」
「あ…いえ、そんな…」
スープは私が拵えたもの。体が回復した頃から、食事の仕度は私がさせて頂いている。
他にも洗濯や、今みたく繕い物など…お屋敷でしていたことを、ここでも同じようにさせて頂いていた。
野外ゆえ大層なことはできないけれど、兵士さんたちにはようやくまともなものが食える、まともなものが着れる、と感謝された。
娼婦になる、と申し出たとき。ブライトさんには『今のままで充分だ』とも言って頂けたけど…。