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LaundryHeavenly.
第6章 Heavenly.6
「んー。ナノ、ぼちぼち行こっか。明日に障る」
「──はい」
ハイジさんの呼び掛けに応じ、ナノさんは箱を閉じると立ち上がった。
彼らが休むためのテントに引き上げるのだ。
『 娼婦を味わうのは上の者から』
そんな暗黙の了解があるらしい。
どうやってもブライトさんが認めないことには、私は娼婦になれず、ハイジさん達が私を抱くこともできないということだ。
「おやすみ、レノちゃん」
「しっかり休むようにな」
「おやすみ…なさい」
二人はそう言い残すと、共有テントを後にした。
とは言っても、彼らが揃って眠りに就くことはない。交代で、必ず誰か一人は外で見張り役をしている。
彼らがこの地に留まる理由である、王子の襲来に備えてだ。
満足に眠ることもできないだろうに。
そんな中でもブライトさんは、私がうなされる度に駆け付けてくれていた。
一人になった私は、スープ皿の上に薄い布を被せると、テント内を照らす蝋燭を消した。
瞬時に真っ暗になる空間。
強烈な心細さが私を襲う。
駄目だ。今眠ってしまったら、きっとまたあの夢を見てしまう。
そして魘されて、情けなくも叫びながら飛び起きて……
「………」
ただでさえ心身共に疲弊している彼らを、これ以上振り回すわけにはいかない。
…それに、今は、ブライトさんがいない。
…眠るのは、よそう。
私は寝台の上で膝を抱えた。