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LaundryHeavenly.
第1章 Heavenly.1
「…ブライト、子供もいたよ…」
私たちの背後から静かにそう告げたのは、
最初の二人のうちのひとり。
『ハイジ』と呼ばれた人だろうか。
「お嬢様!」
私はガーゼを退けて視界を確保すると、
身を乗り出して叫んだ。
──彼の腕の中には確かにお嬢様がいた。
…でも、その姿はあまりにも残酷だった。
お綺麗だったブロンドの髪は、
頭と鼻から流れた血で赤黒く汚れ。
桃のように愛らしかった頬は土気色となり
お人形みたく華奢な手足は力なく垂れ下がり
関節はおかしな方向を向いていた。
彼─ハイジさん─は、お嬢様を地面に
そっと寝かせ、上から布をかけてくれた。
血や土埃で汚れたそれは、
お嬢様の一番のお気に入り。
私がお作りしたベッドカバーだった。
ああ。
生存者というのは私の事だったのだ。
「い…、や……っ、いやあああああ!!!」
絶望、恐怖、痛み。現実を受け入れた直後、
一気に姿を現したそれらは
容赦なく私に襲いかかってきた。
限界を越えた私は、意識を手放した。