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LaundryHeavenly.
第1章 Heavenly.1
「ありえねえ!あのバカ王子、民間人に手ぇ出しやがった!」
「待って、生存者確認!女の子!」
低めの声と高めの声。
男の人は二人いる…?
生存者……女の子……女の子!?
もしかして……お嬢様!?
一筋の希望。呆然としていた私はハッとし、
男の人たちが居るだろう方向を向いた。
「ナノ!こいつ頼む!意識あるが頭部出血あり!ハイジ!捜索続行!」
突然、私の体が宙に浮いた。
一番最初に聞こえた声の主は、
いつの間にか私のすぐ背後にいたのだ。
横向きに抱き上げられていた。
私を包むその腕の、鍛え上げられた固い筋肉。
彼の胸元に押し当てられた頬からは、
金属の固く冷たい感触が伝わる。
防具を身に付けている…。…兵士さん…?
状況が全く飲み込めない。
私を抱き上げたその人は、また別の人に私を託した。
恐らく『ナノ』と呼ばれた人だろう。
同じように固い筋肉の付いた腕が私を抱く。
瞬間、何処かで嗅いだことのある香りがした。
咄嗟に見上げたが、頭の傷口に充てられたガーゼが
目元まで垂れ下がってきたため叶わなかった。
ああ、そんなことよりお嬢様だ。
早く、早く無事を確かめたい。
お顔を見たい。
そんな私のかすかな希望が打ち砕かれたのは
間もなくだった。