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LaundryHeavenly.
第7章 Heavenly.7
「誠意ってのは伝わるもんなんだよ。ナノ」
「…説得力がないんですよ。貴方が言うと」
翌朝。
共有テントの中、テーブル代わりの木箱脇に
並んで胡座をかいて座るハイジさんとナノさん。
用意した朝食を各々に手渡している最中
二人の間でそんなやり取りが交わされた。
昨夜の『誓い』のあと。
私はブライトさんの腕の中で眠りに落ち、
魘されることなく朝を迎えた。
目覚めたとき、寝台に私はひとり。
既にブライトさんの姿はなかった。
私がいる共有テントに姿を現したのも、
ハイジさんとナノさんだけ。
彼らは、昨夜私が『隊長から』専属娼婦として
承認されたことを知っていた。
恐らく私が眠っている間に申し渡されたのだろう。
自ずとブライトさんが不在の理由がわかる。
昨夜とは違い、誰も疑問を口にはしなかった。
朝食をとりながら
ハイジさんが私の方を向く。
昨日打ちのめされたはずの頬。
絆創膏こそ貼られているものの
腫れは嘘のように引いている。
そしてその表情は…笑顔。
「晴れて専属娼婦就任おめでとう、レノちゃん。で、その流れで昨夜は、ブライトと最後までしたんだよね?」
…この人はまた無邪気に
とんでもないことを聞いてくる。
顔中が一瞬で赤く染まってしまった。
「いっ、いえ…っ、それは、まだ…っ!」
燃えるような熱さのなか、
しどろもどろで答えた直後。
瞬きするより早く、口元が掌で塞がれた。
「っ!?」
「はい違反ー。レノちゃんダメだよ、言ったでしょ。君の"お城"でのことは口外禁止だよ」
「……ぁ…」
掌を外しながらハイジさんは
おどけるような口調で言った。
でも瞳は笑っていなかった。
掌を充てられたのは一時だったし
気のせいだったかもしれないけど…
鼻まで押さえられていたら
窒息しかねない強さだった。