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LaundryHeavenly.
第7章 Heavenly.7
「…今のは仕方ないんじゃないですか?」
聞いたのはこちらなのだから、と
ナノさんが助け船を出してくれた。
「"お答えできません" で通すんだよ。例え拷問されても言っちゃダメさ」
ハイジさんはそれを瞬時に打ち消す。
更に彼は言葉を続けた。
「体の負担は当然だけど。それ以上に"秘密を守る"って、辛いでしょ?だから娼婦さんは見返り大きいのさ。貰うもん貰うからにはキッチリしてもらわないとね」
「……」
私が口を滑らせたことが
彼らの命取りになる。
ブライトさんとのことが頭の中を占めていて
ハイジさんからの教えは、正直失念していた。
肉体だけでなく、精神的な負担。
考えもそこまで及んでいなかった。
「……すみ…ません」
未熟さを痛感し一気に萎縮してしまった私は、
ただ俯いて謝罪することしかできなかった。
「んー。でもね、大丈夫だよ。僕らも"覚悟"決めたし。君を守るって"誓い"もたてた」
『秘密を話さざるを得ない状況』にはさせない。
そうハイジさんは言ってくれた。
「ね、ナノ」
「…隊長のご決定ですからね」
話を振られたナノさんは短く返し目を伏せる。
私は気づかれないように視線をそっと向けた。
恐らく三人のなかで最年少の彼は
いつも今みたく伏し目がちで、口数も少ない。
ハイジさんと話しているときは、
多少砕けている感じがするけど…
無愛想で、笑顔は見たことがない。
それでも、負傷し意識を無くしていた私を
ずっと付きっきりで看病してくれ
その後も逐一体調を気遣ってくれて…
さっきもさりげなく助けてくれたりと
優しい人だとは思う。
──優しいひと。私の心に僅かな陰が宿る。
『──我々も全力でお前を守ると誓う』
有難いはずの言葉。けれど
ブライトさんとハイジさんは
私を容易く壊すこともできる。
──ナノさんもそうなのだろうか?
少なくとも彼は私を歓迎してはしない。
『隊長の決定だから受け入れた』だけだ。
考え込んでしまった私を引き戻したのは
ハイジさんの明るい声。
「でもねレノちゃん。"知る"ことには制限ないんだよ。丁度いいや。僕らのことを話そうか」