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第9章 Heavenly.9

「…っ、ゃだ…っ、うそ……っ！？」

痛みと恐怖から解放されたが最後。
次に私を襲ったのは…快楽だった。

彼は自分自身を、私の内壁を愛撫するように擦り付け行き来させる。私が好む場所を探しているかのように。

一方的に貪られるものじゃない。
初めて経験する、与えられる悦び。

まがりなりにも『男』を知っている私にそれは堪らなく甘美で…溺れるには十分だった。

「あ…んぅっ！あぁんっ」

秘部から溢れ出る蜜は、潤滑油の役割を見事に果たしてくれた。彼自身を私の最奥まで導いたのだ。快感と共に。

「……言ったな、レノ。止まらないって」
「！ひ…あっ！？やあぁっ……！」

私の体の変化を彼は察した。動きが変わった。
彼は自分のために動き始めたのだ。

「ぃや…っ！やあぁっ！だめぇ…っ！」

一番奥の疼きが突き上げられる。予想できない強さと間隔に戸惑い、拒絶する声を上げてしまったけれど…一度自らの意思で彼の全てを受け入れた私は、もう溺れることしかできない。

今の彼は『部隊長』でも『聖職者』でもない。一人の『男』なのだ。
彼にとって私は、久々に肌を重ねた『女』。止まるわけがない。だらしなく漏れ続ける私の矯声に煽られるように、ぱちゅん、ぱちゅん、と、卑猥な水の音を響かせながら私の中を突き立て続けた。

「…気持ちいい？」
「…い…ぃっ、きもちい…ぃっ」

素直に快感を口にした私に、彼は余裕のない笑みを浮かべながら呟いた。

「…泣いてたのが嘘みたいだな、レノ」
「！いやあ…っ」

羞恥心に駆られ、真っ赤になってしまった顔を隠そうとした両手は押さえつけられ封じられた。

「…隠すな。見たい」

可愛いから、という理由と共に。
返す言葉を無くした私に、再び快感の波が押し寄せる。それは、彼の動きが速さを増すと同時に刻々と姿を変えてきていた。

…絶頂が近いのだ。私も、彼も。

「や…うっ、あんっ！だめ…っ、もう…っ！」
「……、」


───レノ


耳に届いたのは、彼の低くて優しい声。
瞼に浮かぶのは、私を呼ぶお嬢様の姿。

肌の上に、熱いものが飛び散る感覚が広がった。

それが何なのか。もちろんわかっている。
その始末を私がしなければならない事も。

だけど…今はとてもできない。

私の意識は、そこで途切れてしまったから。