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LaundryHeavenly.
第9章 Heavenly.9
「──レノ。やめよう」
その声で私は我に帰り瞳を開けた。
包まれていたぬくもりも無くなる。
「もういい」
「!」
ともすれば死刑宣告にも等しいその言葉。
愕然とするが、今の私からは彼の表情は見て取れない。けれども彼の声には呆れも失望もない。あるのはただ、私の体と、心への気遣い。
腰を引き、私との繋がりを完全に断とうとした彼。私はその腕を頼りなくも掴み、嗚咽混じりに…哀願した。
「…で…」
「…レノ?」
「やめな…で…っ……おねが…」
やめないで下さい。お願いします。
そう言いたかった。言ったはずだった。でも声は涙で掠れてしまい、辿々しくなってしまう。
彼の動きが止まる。私を見下ろしたその顔、その目は私を一瞥したあとすぐに逸らされた。
「……」
微か。でも確かに、舌打ちの音が聞こえた。
胸に冷たいものが走る。ああ、でも、いい。もういっそのこと、ひどくして欲しい。かつて私がされてきたように。そうすれば、元の私に戻れるかもしれない。こんなおこがましい思いだって、消えてくれるはずだ…。
「…止められないぞ、もう」
そう独りごちた彼は私の両膝の裏に手を入れ、ぐい、と押し広げた。必然的に剥き出しになる秘部。
羞恥心に表情を歪ます私に構うことなく、彼自身は私の中への侵入を再開した。
その動きはひどくゆっくりしたもの。
─ああ、わかる。この期に及んでも、
私に痛みも恐怖も与えないためにだ。
押しては引いての動作を繰り返し
彼はじりじりと、私を貫いていく。
「っ、は…ぁ…っ」
指とは比べ物にならない圧迫感。逃がそうと吐き出した息は、苦しげに聞こえたかもしれない。でも彼は止まらない。次の瞬間だった。
「──ひうぅっ!」
ズン…ッ!とお腹の奥底に走った鈍い衝撃。
それまでの緩やかさが嘘だったかのように、彼は一気に私の中を突き立てたのだ。
「!…んん…っ」
悲鳴を掻き消すように、重ねられた唇。
それは暖かくて、柔らかい。…そう、彼が教えてくれたんだ。想いの込められた口づけは甘く、幸せなものだと。
「ふ…ぁ…っ、ん……」
暖かさ、甘さ、優しさ。その全てが溶かされた彼の口づけは私の頭の芯を熱く、痺れさせる。
…いや、それだけじゃない。
恐怖も、痛みも。私の中の全てを。
忘れさせるものに姿を変えていた。