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LaundryHeavenly.
第10章 Heavenly.10

目を覚ましたのは朝ぼらけの頃。
初めて悪夢に魘されることなく夜を終えた。

隣は既にもぬけの殻。まさか全部夢だったのだろうか?しかし体を起こした時に下腹部に走った鈍い痛み。それは昨夜のことが現実だと物語っていた。

「……」

放たれたはずのものは払拭され、裸だったはずの体にはシャツが着せられていた。
彼は最後まで優しくて、私を気遣ってくれたのだ。
滲んだ涙は強引に拭い去った。


──────────

「おはよー、レノちゃん」
「っ!おはよう…ございます…」

朝食の支度が整った頃、ハイジさん達がテントに姿を表した。

「隊長出ちゃったけど、昨夜はどーだった?」
「っあ、おっ…お答えできません…!」
「はい。よくできました」

ハイジさんの満面の笑みと、頭を撫でる手に安堵する。彼らは各々自分の位置に腰を下ろすと、食事をとり始めた。

「…ハイジさん、それ自分のです」
「育ち盛りだからさー。ちょーだい」
「何言ってるんですか。寒いんですけど」

それにしても…
彼らは『いつも通り』だ。

昨夜『仕事』…即ち『情事』が行われたこの空間。私は何とも言えない居心地の悪さを感じている。
ましてやこうして食事までとっているわけだけど…彼らは平気なんだろうか?

「平気だよ」
「!」

ハイジさんの突然の声に面食らう。
やはり私の心中は、そのまま表情となって出ていたらしい…。

「内臓ブチまけ死体の横でもの食ったりもザラだから。他人の精子の匂いも慣れてるし、今更何も感じないよ。ねー、ナノ」
「…そうですね」
「慣れ…」

ああ、そうか…。私の非日常は彼らの日常なんだ。
納得しかけた矢先だった。ナノさんが突然私の方を向き直った。

「…あ、娼婦さん」
「っ、は、はいっ…?!」
「これ、飲んで下さい」

彼がポケットから取り出したのは、白くて丸くて…丁度、小さめの真珠のような粒だった。
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