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LaundryHeavenly.
第11章 Heavenly.11


「…姉…さん…?」


戸惑うような。でもすがりつくような
眼差しの彼は。呼び掛けに素直に従った。

両手の自由は効かない。
抱き締めることは叶わない。

彼は貴族。私は奴隷。
今はそれも関係ない。

「…いい子ね、おいで…」

私は微笑み、彼を膝へと導き
横になってと促した。

彼が『姉』の顔を見ていられるように。
なるべく肌を寄せ合っていられるように。

「ごめんね、いなくなって…」

出来る限り上体を屈め顔を寄せて。
体は悲鳴を上げたが構わなかった。
僅かでも彼の心に届く事を願った。

「……」

彼は寝返りを打ち、私の方に背を向けた。
一瞬緊張が走ったが、それまでの興奮は
嘘のように鎮まっていた。

…大丈夫、落ち着いている。
私は語りかけを続けた。

「もうどこにもいかない…約束するわ…」

頑なだった彼の体から
少しずつ力が抜けていくのが伝わってくる。

「…ごめんね…」

何度も繰り返された囁きに
安堵してくれたのだろうか。

彼はいつしか安らかな寝息を
聞かせてくれたのだった。

辺りが白ばみ、朝を迎えるまで。
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