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猫彼女。
第3章 cat.3
「……、あっくん……起きて!」
どれくらい寝てたんだろう。
えりさの呼び掛ける声と、背後から体が揺すられる振動で目が覚めた。
「ねえ、あっくん!あっくんってば…!」
…何か、切羽詰まってる?
揺する力も強さを増してきてるし…
やばい、もしかして俺、寝過ごした?
覚醒したばかりの体は思うように動かない。
なんとか寝返りをうち、えりさがいる方に体を向けた。
重い瞼を擦りながら、とりあえず今の時間を尋ねる。
「し、7時…だけど…」
「へっ?」
返ってきた答えに、間抜けな声が出た。
俺が寝落ちてから、ものの一時間も経っていなかったのだ。
あれ俺、11時に起こしてって伝えたはずだけど…。
いくらなんでも早すぎる。
何だろう、もしかしてえりさ、職場から呼び出し食らって、出ることになったとか?
「大変なの…!」
とにかく起きて、とひたすら体を揺すられる。
が、寝起きにこれは正直ちょっときつい。
いつもなら絶対こんな起こし方はしないのに。
よほどの緊急事態なんだろうか。
「わかった、わかったから……」
何とかなだめすかし、無理矢理上体を起こす。
…すこぶる眠い。多分俺、熟睡に入った直後くらいだったんだな。
眠気を払うため頭を左右に強く振り、
更にもう一度、今度はさっきより少し強く
瞼を擦った。
俺は、視力はいい。
しかも今は窓のカーテンも開けられて、
太陽の光が部屋中に降り注いでる。
強く擦ったせいで視界は少しぼやけてるけど、
えりさの姿はすぐ確認できた。
シャワー上がりの濡れた髪を押さえるように、
頭には拡げたタオルを被ってる。
表情は何故か不安でいっぱいといった感じ。
物凄く可愛いんだけど…どうしたんだろう。
「どうしたの…?えりさ……」
「…見て……」
そう言って彼女は、頭のタオルをゆっくりと外した。
俺もつられて視線を向ける。
俺は、視力はいい。
うん、そう…よかった、はず…。
しかし自分の目を疑うものが、
そこにはあった。
「…ぇ…なにそれ…」
えりさの頭から、白くて三角形の…そう。
丁度、猫の耳のようなものが、生えていた。