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猫彼女。
第6章 cat.6

「りおちゃん駄目よー。あっくんまだ寝てるんだから」

えりさの声がした。
姿は見せてくれないが、その口調は普段通りだった。

「………」

部屋の掛け時計を見上げる。
…7時を少し過ぎたところだった。

覚めきらない頭で考える。
全部、夢だったのかな。
それにしてはリアルだった。

えりさに触れたときの感触。
えりさの香り、味、暖かさ。
猫耳の手触り、尻尾の弾力。
果てたときの、全ての感情。

全部覚えている。
しかし、体にはその形跡がない。
マットレスカバーにもだ。

…。何なんだろうか。よくわからない。

りおをかまってやりながら、半分
上の空になっていた時だった。

「りおちゃ…あ、あっくん起きてたの」

いつの間に寝室に入ってきていたえりさが、
声をかけてきた。


「…寝起きにいいかな、あっくん。お願いがあるんだけど…」
「おはよ。いいよ。なに?えりさ…」

顔を上げ彼女の方を向いた瞬間。
息を飲んだ。

そこには…夢と全く同じ。
猫耳と尻尾を生やし、素肌にTシャツ一枚を羽織った
えりさがいた。
そして…これまた聞き覚えのある台詞を言ってくれた。


「……えっち、しよ…?」
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