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ひととせの自由
第2章 すこやかパンダクリニック
──なんなのこれ。
これ一体、どういう状況なのよ…
──いやいやいや、わかりますよ?
私だっていい大人なんだから。
男女の営みの真っ最中ってことくらいわかりますよ。
じゃなくて!
なんでこんな所でやってんの?!
ここ、神聖な診療所でしょ??!
「先生、オーナーがおみえになりました」
いやいやいや、おかしいでしょ、田中くん。
なんでそんな平然としてるの。
しかもノックしたとはいえドア開けちゃうし。
「せーんせっ。こんばんはー」
これまた、アンタは友達の家にでも来たんですかって軽さで言いながら、河村さんは中に足を踏み入れた。
何なのもう…。頭がついてこないけど、どうやら異常事態と思っているのは、この場では私だけみたいだ…。
「あぁんっ、そこ…、イイのお…っ…」
……。
ドアが開いちゃったせいで、まだ廊下にいる私の耳には女性の喘ぎ声がモロに飛び込んでくる。それに加え、肌を打ち付ける音も。
…他人様のセックスを目の当たりにするって、こんなにも居心地悪いものなのかい…。いや、だから、なんでヤッてんの!!
「…んぁれっ?光太郎くん?もう来たの?」
室内から、男性の声。やや息が上がっている感じがするから、恐らく…女性のお相手。そして──
「善は急げって言うでしょ、せんせー」
──ここの院長先生だ。(…善?)