この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ひととせの自由
第5章 Ghost White

「すっごいね、もう見付けたんだ。さすがオーナー」
「全然遅いよ二週間かかったし。あの人なら二日で捕まえてる。ってかそもそも逃がさないしね」
「前オーナー?まぁあの人はほら、色々アレだったから」

四季先生と河村さんの会話なんか頭に入ってこない。
目の前…いや、目の下に転がった蓮哉に釘付けだ。

蓮哉は…リンチでもされたんだろうか。
着ているシャツは血痕で模様付けされちゃってる上に、破けまくってもはやボロ雑巾。いつもワックスでキメてた髪はぐちゃぐちゃ。所々頭皮も見える。

唯一の取り柄(だよ、ホントに。なかなか離れられなかったのもこれが理由…今はどうでもいいか)だった整ったお顔は、左目の周りにでっかい青アザを作り、頬も腫れて。傷だらけの口元には猿轡を噛まされていた。

「~!~~!!」

それまでぐったりしていたのに、私と目があった瞬間。
蓮哉はフライパンで熱せられたエビみたく全身を跳ねさせ、声にならぬ声をあげて喚いた。多分…助けを求めてる的なやつ。


「あれ、まだそんな元気あった?田中くんゴメン、黙らせて」
「承知しました、オーナー」

河村さんの指示に素直に従った田中くんは…田中くんは…、なんの躊躇いも迷いもなく、蓮哉の鳩尾に蹴りを入れた。

「ッッ!!」

──痛った!!私が反射的に目を閉じてしまったのとほぼ同時に、くぐもった呻き声が耳に刺さる。次に目を開けて見たときの蓮哉は、身体を『く』の字に丸め小刻みに震えていた。

え…ちょ…なに?なんなの?この状況…こわい…
普通に考えたら、逃げた債務者がとっ捕まった図…だけど。

蓮哉の場合は連帯保証人の私がいて、既に返済のために働いてる。今更主債務者の蓮哉を探し出したところで、こやつに回収できる貯金も能力も無さそうなんだけれども…

「まったくさぁ。聞いてよせんせー。借りたもん返さずにトんだ挙句、逃げ込んだ先のおねーさんと組んで、プッシャーの真似事してたんだよ?この坊や」
「うわ。オーナーの地雷踏み抜いちゃったね」
「そ。クスリ、ダメ、ゼッタイ。…血ゲロ吐くまで叩き込まれたからね、俺」


理解した。金の貸し借りの話じゃないんだ。
今の河村さんは……怒っている。
蓮哉、やらかしちゃったんだ!

そして思い出した。ここ『すこやかパンダクリニック』は、怖い人の息がかかった、怖いところだって。
/61ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ