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ひととせの自由
第5章 Ghost White

「で、前話したけどミヨに薬流したのはそっちの子だしさ」

ちら、と河村さんが一瞥したのは、こちらがこんな修羅場になっとるなんて知る由もなく、ベッドで安らかに眠り続けるお姉さん。
・・・なんとこの方、さっき河村さんが言った、蓮哉が逃げ込んだ先のおねーさん なのだそうだ…。
蓮哉と組んで、その…いわゆる『御法度』を犯した片割れ。この先この方がどんな末路を辿るのかは、考えたくもない。


「ヒフミちゃん、上位入り常連だったのにね。でも大変だね、奥さんのお店、従業員間で薬物汚染広がっちゃってるわけだ」
「だーかーらーさ。しかも元凶だからね。今回はミヨの時みたく、大富豪サマに売り飛ばす~なんて生易しいコト、してらんないんだよ」
「達磨さんにしちゃうとか?」
「あーいいねー。アレ意外と好きな人多いから…」


あ〰〰も〰〰ほら!言ってることが怖い!!
つまり『みせしめ』色が強いんですよね?!
まさかその処置、ココでやってね☆なんて言いませんよね?!
そして転がったままの蓮哉はどーなる…の?!


「そこでね、ひととせちゃん」
「ヒッ」

キタ──(゚∀゚)──!…なんて呑気なこと、もう言えない。
怒りのオーナー、河村さんは…まっすぐ私を見ておられる。
あああ…ほら、もう目が違うのよ。激おこがモロわかり。

「この坊やのこと、まだ好き?」
「はゐ?」

斜め上左方向からの質問。『好き?』…スキ??
何言われたかわかんなくて、ポカーンと間抜け面晒す私に、河村さんは続けた。

「一応きみの彼氏だった訳でしょ?そりゃ確認しとかないと」
「え…」

今後のために。と、やっとそこで笑顔を見せてくれたけど……その笑顔が怖すぎるしそもそも『今後』ってなんですかどういう意味ですか怖すぎです。


・・・え〰〰・・・と。


ココで私が『はい』と答えた場合のシミュレーション。
→「あっそう。じゃ、ひととせちゃんに免じて、このくらいで許してあげるよ。よし坊や、タコ部屋行こっか★」

ココで私が『いいえ』と答えた場合のシミュレーション。
→「あっそう。じゃ、ひととせちゃんも見捨てたし、坊やには生まれたこと後悔コースをご馳走するね★」


・・・どっちも救いがないな・・・


「大丈夫だよ?最終的にはウチと仲良しの建設屋さんにお願いして、綺麗さっぱり埋めてもらえるから☆」


ほら、ね・・・ハハ・・
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