この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひととせの自由
第1章 私がバカでした。
やっぱりそれですよね。
金返せなくなった女の末路なんて、それ一択ですよね。
ああ、本当に私、なんてバカだったんだろう。
憧れの看護師になれて、都内の病院への就職も決まり田舎から脱出できて順風満帆、何もかもバラ色だったはずなのに。
現実はただただ残酷で。仕事は薄給の超ブラック、人間関係もギスギス。患者さんからの『ありがとう』だけが唯一の救いで。
私生活も余裕がなく、楽しみらしい楽しみがない。そんな毎日の繰り返し。
淋しかった。虚しかった。
だから街で声かけられた(ただのキャッチだったんだよね…今思えば)あいつに溺れちゃって。
乞われるままお金貢ぎまくった挙句、借金おっかぶされて逃げられるなんてね…今どきマンガでもないでしょ、こんな話。
ばーちゃん。こんな孫でごめんね…
これから私、『お風呂屋さん』で働かされて、骨の髄までしゃぶり尽くされるんだろうけど、毎月の仕送りだけはそれでも何とかするからね…。
しかしそこで、スーツ男性様は思いもよらぬことを言ってきたのだった。
「それとも、“看護師“ 続ける?」