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熊猫彼氏。
第3章 樹里ちゃん。
「むらかみさん?」
「えぇっと…死ぬほどイケメンで、眼鏡かけてて、赤茶色っぽい髪で、背高い男の人」
「?ごめん、わかんない。誰?」
写真なんか無いから身振り手振りで伝えてみたけど、彼女はきょとんとしてる。本当に知らないみたいだ。
何でもない、と誤魔化したけど、心中はとても穏やかじゃない。
だってなおさら怖いじゃんか。
村上さんの方は樹里ちゃんを知ってんだから。
ああ、なんかもう色々頑張れ。俺。
「…あっ!ねえねえ光太郎くん!あーれっ!もう着てみた?」
「え?あぁ、うん」
彼女が指差した先には、部屋の床に広げた状態でおいた例の着ぐるみ。無邪気な表情をしたパンダの生首がこちらを向いている。
昨夜、恐れおののきつつも一応は練習しとかなきゃと思って着込んでみたんだ。着ぐるみっていや、暑い・重い・蒸れるの三重苦だと思ってたんだけど、そうでもないんだね。ラ○ニングマンも普通に踊れたし。
ま確かに、頭の部分はでかいしバランスとりづらいけど、大半が発泡スチロールで出来てて見た目よりずっと軽い。
体の部分は前開きのファスナーになってて(いいのかよ)脱ぎ着がとても楽だった。下からも開けられるダブルファスナーだから、用を足すときもいちいち脱がなくてよくて便利。意外に機能的だ。
「ねえ着てみて!見たい見たい!」
「え~、マジ?恥ずかしいんだけど…」
「これで人前に出るんでしょ?」
おねがいっ、と。伺うような、ていうか俺が断ることなんか出来ないことを知ってる、見透かすような上目使い。かわいー…。ちらっと視線をずらせば、襟元からかすかに胸の谷間が垣間見えた。
白くてふわふわで、マシュマロみたいな樹里ちゃんのおっぱい。巨乳!ボイン!てわけじゃないけど、俺の手にすっぽり収まるちょうどいい大きさ。
初めて触った時感動すら覚えたんだ。
女の子ってこんな柔らかいんだって。
だってほら俺、ドーテーだったし。
「うん…わかった。ちょっと待って」
そんなこんなで樹里ちゃんを部屋ん中に通し座ってもらう。彼女に背を向けた状態で、俺はパンダ男へと変身していった。