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熊猫彼氏。
第3章 樹里ちゃん。

「あははっ、光太郎くんかっわいー!」

さて。ちょっと狭い視界の先は、死ぬほど可愛い笑顔で腹抱えて笑う樹里ちゃん。

「さ、最高…!…撮るねっ」
「えー?恥ずかしいな…」
「いーからいーからっ♪笑ってー!」

俺が笑っても見えないよ…と心でツッコむ。そんな天然なとこも可愛い。何て思ってるうちにピンク色のケースに入れたスマホが俺に向けられ、カシャ、カシャ、と音を立てていった。

樹里ちゃんは俺の回りをぐるぐると移動し、「これやって」「あれやって」とポーズを要求してくる。

…かわいー…

無邪気にはしゃぐ姿がまた、めちゃくちゃ可愛い。ついつい言うこと聞きたくなっちゃう。
俺は言われるまま両手を顔の前で広げたり床に寝そべったり、樹里ちゃんが望むまま動いた。

もちろん、あの方からお預かりした着ぐるみだって忘れてない。汚したり傷つけたりしないよう、細心の注意を払いながら。


「思ったより手触りいいね」

ふいに彼女の手が俺の右腕に触れた。感心を漏らしながら上下に撫でるように動かす。

「でしょ?動くのも楽なんだよ。着ててもそんなダルくないし」
「へー…すごーい!」

無邪気に喜び、素直に感激してくれる樹里ちゃん。
うん、やっぱ可愛いなぁ…そう思ったら体が勝手に動いて、彼女の頬に触れてた。

「ひゃっ!」

パンダの手の部分は俺の手より一回りくらい大きいから、普段通りに触っても彼女の首筋にまで届いてしまう。
奇しくも、そこは彼女の性感帯。


『大事にしろよ』

頭を過んのはあの言葉。
へい、わかってます。

「…光太郎くんっ!」

やめて、くすぐったい、と。苦笑しながらパンダの手をどかそうとする樹里ちゃん。

「今度は俺の番だよー」
「むー!」

離すどころか、彼女の顔を両手で挟みこむ。笑顔から仏頂面になった表情もまた可愛いんだよなぁ。

着ぐるみ越しでもわかる柔らかさ。
ふわふわっと香ってくる甘い匂い。
さっき一瞬だけ耳にしたエロい声。

…いや待って待って待って!

勃ってきちゃったんだけど!
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