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熊猫彼氏。
第2章 村上さん。
「そ、それで今回はどのよーな内容で…」
床に正座しお伺いをたてる。これはもう条件反射だ。逃げられないんだし、だったら少しでも気に障らないよう行動するしかない。ある意味生きるための知恵だ。
村上さんは当たり前のようにベッドに腰掛けると、煙草に火をつけた。あぁ、俺嫌煙派なんだけどなぁ。あーもう、んなことどーでもいいや…
「それな。明日だ」
「はあ…。…?!あ、明日ぁ?!」
裏返った声をあげてしまう。よりによって明日?明日はそう、マイハニー樹里(じゅり)ちゃんの誕生日だ。
お互い休みだから、一緒にいようね。って約束もしてた。
「む、村上さん…明日は俺、無理でs」
「は?テメー拒否れる立場か」
途端に村上さんの顔が険しく歪む。
綺麗だから余計怖い。発言も怖い。
「じゃ、タコ部屋行くか。俺の知り合いの建設屋、紹介してやるから」
「いやあのそうでわなくてデスね?!」
顔が引きつるせいで、喋りもカタコトになってる。両手と顔を左右に振り『貴方に逆らうつもりは毛頭ございません』アピール。
樹里ちゃんの笑顔と柔らかいおっぱいが浮かぶ。頑張れ俺!
「か、彼女の誕生日なんです!」
「……」
意を決した俺の言葉に、村上さんは無言。紫煙だけが俺らの回りを包んだ。が、それも束の間。意外すぎる言葉が返ってきた。
「じゃ、樹里ちゃんも連れて来ていいよ」
「ゑッ?!」
「そこに袋あるだろ。中見てみろ」
目線を向けた先には。しまーむらで布団買った時に入れられるレジ袋並みの、でかい布製バッグがあった。全然気づかなかった…。え?村上さんコレ持ってきたの?マジで?何入ってんだと恐る恐る開けてみると…
「パ…パンダ…?」
白と黒は友愛の証。
パンダの着ぐるみが入っていた。