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メンズミーティング
第10章 彼女から見た彼女。
…やっぱりそういう事だったのね。予想はしてたけど。
いざ目の当たりにすると、複雑な気持ちになった。
そう、未結は『女』らしくなったんだ。
高校の時から可愛かったし、今だって可愛い。けど、あの頃とは全然違う。なんていうか…色気がすごい。
「…お化粧のせいだよ」
思ったことはつい口に出してしまうのがあたしの悪い癖。わざとらしく明るく返してきた未結だけど…あんた、すっぴんでしょ。嘘が下手なんだから。
『男』を覚えたんだね。
待ち合わせ場所にも、まさか男連れて来るとは夢にも思わなかった。ホントはあたし、約束の時間よりもずっと早く着いてたんだよ?
今日はバ課長のせいで休日出勤の上に残業になって。一旦帰って大急ぎで支度して飛び出たの。早く会いたかったから。携帯の充電も忘れるくらい。
でもそれより早く着いてた未結たち。それ見たら何故か、声がかけられなかった。入り込める雰囲気じゃなかった。周りに人間はいるのに『二人の世界』がはっきりと見えたから。
未結いわく『彼氏じゃない』男。でも足になってくれて、あんな空気まで醸し出してる。
あの男が、そんなバカみたく痕着けたの?そのじるすちゅあーとのワンピも贈り物?『彼氏じゃない』のに?それとも他にも『特別な誰か』がいて、愛されてるの?
ねぇ未結、あんた今一体、どうなってるの?
そんな一気に変わらないで。嫌だよ。淋しい。あたしだけの未結だったのに。
──でも。
そこにそのへんてこな羽織ものと、しまーむらのサンダル合わせちゃうのは、やっぱり未結。
未結が幸せならあたしはそれでいい。
…でも、だけど……。
未結は未結のままでいてよ。
…そんなのあたしのわがままだけどさ。
可愛くて意地っ張りで泣き虫で手がかかって、優しくて頑張り屋な未結が、大好きだよ。
例えあんたがどんな状況になってたとしても、この気持ちはいつまでも変わらないからね。