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メンズミーティング
第14章 彼女から見た彼女。2

明日は彼氏の誕生日。

当日は幸い土曜日。前日の金曜日は、お互い退勤後に待ち合わせてご飯食べて。
プレゼントを渡して。そのまま某ホテルにお泊まり!土日はそのまま一緒に過ごそう。そんな約束をずっと前から取り付けていた。

さすがに3日間は無理でも、せめて金曜の夜は一緒にいて。誕生日を迎えた瞬間をお祝いさせてね。って。盛り上がるあたしとは正反対で、彼は乗り気じゃない感じだった。
誕生日なんてどうでもいい。ハッキリ言われた。それでもあたしは押し切った。

付き合い始めた去年は誕生日を教えてくれなくて、ようやく聞き出した時にはとっくに過ぎてしまっていた。だから今年は、初めてお祝いできる特別な日。『彼女として』お祝いできる特権を、独占したかったのだ。


待ちに待った当日。楽しみすぎてニヤケてたらしい。同僚に怪しまれてしまった。
オフィス内。自席で書類を整理しながら時計を見る。まだ2時過ぎ。…ああもう、早退しちゃおっかな?
そんな逸る気持ちに水を差すように、デスクの隅で携帯が震えた。L1NEだ。手に取って手帳型のケースを開いた直後、目を疑った。

『今日行けない』

新着情報として画面に表示されたその一行。差出人はもちろん、彼。…嘘でしょ?すぐさま返信した。

『どうして?』
『抜けられない。土日も無理』
『どうしても無理なの?少しでもいいから!お祝いしようよ!』
『祝わなくていい』

そこでメッセージは止まった。
既読もつかない。
電話も繋がらない。


「……くん」


彼の名を呟きうなだれた。

視線の先にあるのは、デスクの足元に置かれたあたしの鞄。
そこから覗く、小さな四角い包み。
濃紺の包装紙に、薄い黄色のリボンを結ばれたそれは、今日のために準備したプレゼント。

そのすぐ横には、純白の封筒。…あたしが昨夜書いた手紙だ。
誕生日おめでとう、お祝いできて嬉しい。これから先も、ずっとお祝いしたいな。
そんなことを書いた。

喜んでくれるかな、笑ってくれるかな。
照れたりする?はにかむ?
色々想像してた。期待してた。

それもこれも今、全部打ち砕かれた。
他の誰でもない、彼自身によって。

贈る相手はいない。
虚しさだけがあたしを包む。

その時だった。携帯が震えた。…恐らく、過去最高の速さで手に取った。新着情報に表示されたのは…彼からのL1NEだ!
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