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BeLoved.【蜜月記】
第13章 そういう男。1
店長さんは、カッチリした見た目のイメージとは違い、朗らかで可愛らしくて話しやすくて…優しかった。
意見を押し付けてくるんじゃなくて、わたしの好みをきちんと聞いた上で、合う色や形なんかを選んでくれて。
おしゃべりも楽しみながら吟味し、ようやく、これは!と思えたのは、2着のワンピース。
試着を促され、店内の奥に設えられた、小部屋が並ぶ廊下に案内され、その中の一つに通された。
「こちらがフィッティングルームでございます。ごゆっくりどうぞ」
「あ、ありがとう、ございます…っ。お借りします…」
一礼して、ドアを静かに閉めてくれた店長さんを恐縮しきりで見送った後。周りを見渡したわたしは…ため息をついた。
…こういうお店って試着室まで素敵なんだ…。あ、試着室 って言わないのか…。わたしが知ってる、半畳くらいのスペースの周りをぐるっとカーテンで囲われているのとは、全然違うんだもの。
まず、広い。4畳半くらいはありそう??内装も落ち着いたパステルカラーで統一されていてお洒落だし、壁に貼られた大きな鏡、お洋服をかけるハンガーラックはもちろん、端っこにはメイク直し用らしきドレッサーまである。はぁ…。
鏡の前に立ち、今現在の自分の格好を改めて見返す。…はい、普段着です。よくもまあこんな格好で来れたなぁ、わたし。
「……♡」
服で落ちかけた気持ちは服に上げてもらおう…かな!
────────☙
「未結、入ってもいい?」
試ちゃ…フィッティングルームに入ってから、しばらく。
ドアをノックされ、麗さまが声をかけてきた。
「あ…っ、はい!大丈夫です!……」
本当は背中のファスナーが上がりきってないけど…待たせる訳にはいかない!慌ててドアの方を向いて返事をし、彼を招き入れた。