この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
BeLoved.【蜜月記】
第13章 そういう男。1

おかしいな。

躊躇ってたはずだったのに。
罪滅ぼしのはずだったのに。

名前のわからないドキドキが治まらなくて。
もっと言ってしまえば、治めたくなくて。

わたしは彼の首に両腕を回し、引き寄せるどころか抱き寄せて、キスを続けた。
顔の傾きを変え、唇が触れ合う角度を変えながら、何度も。

「……ん」

…おかしいな…。

躊躇ってたはずだったのに。
罪滅ぼしのはずだったのに。


彼のため、だったはずなのに。



「…未結がきもちよくなっちゃったね」
「…!」

苦笑混じりの静かな声で、図星を突く痛烈な一言。
瞼を開いた先には。
『わたし』が引き寄せ屈ませて、キスをした…麗。

「ね」
「あ…」

射抜いてくる。切れ長で、長い睫毛に縁取られた、赤墨色の瞳が。見抜いてくる。きもちよくなってしまったのが、身体だけじゃないことを。

彼は咎めているんじゃない。むしろ──


「──ねえ、もっとキスしよう?未結」


──愉しんでる。


「…ん!ぅ…」

返事を待たずに、再び拡がった唇のぬくもりは。
『わたしから』のキスが、おしまいを告げる合図。そして
『彼から』のキスが、始まった合図。



「んん…っ」

後頭部に回り込んだ手が、優しい力で押さえ付ける。
そして自分の方に…抱き寄せてくる。きつく。

「…口開けて」
「っ、ぁ…」

条件反射的に従ってしまった、僅かな隙間から。彼の舌はわたしに容易く入り込んだ。…熱く柔らかなそれが絡み、キスの深さが増していく。

「ふ…ぅ、んん…」

あまくておいしくて、とろけるような、彼のそれ。わたしの両腕は、いつしか彼を抱き寄せるのでなく、必死でしがみつくことに役割を変えていた。


「…かわいい、未結」
「あっ…、うぅ…っ」

舌先に甘く立てられた歯。走った痛みも、すぐに絡められた舌が拭い去ってくれて。むしろ、噛まれた部分は鋭敏になって、さっきよりも感度が増してる。…だめ、きもちいい…

「……っ」

頭の芯が溶けていく。お腹の奥が疼く。崩れてしまわないよう、離れないよう、首に回した腕に力が籠る。
彼はわたしのもの──それがなにより、心を満たす。




「着た感じ、いかがですか?」

ドア向こうからの軽いノックと、店長さんの声でハッとして。

彼を癒すためだったはずのキス。
なのに結局癒されたのは、わたし。おかしいなぁ…。
/155ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ