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BeLoved.【蜜月記】
第13章 そういう男。1

「お預かり致します」

さて。最終的にワンピースは二着ともお買い上げ。
今夜の約束に着ていく方は包んでもらい、もう一着、今着ているこれは…このまま着て帰ることにした。

それは彼の希望。露出が多いけど、今は自分がそばに居るから大丈夫だし…その、やっぱり、「可愛いから」らしいのと…。

「今日、ボンクラの日だったからね」

そう。今日は『彼』の日。だから本当ならわたしは彼と、唇への…ましてあんな深いキスを交わしてはいけないはずだった。

「罪滅ぼし」
「……」

麗さまはそう言ってにこりと微笑んだけど。真意はわかってる。わたしがこの服を着込む度に、思い出すってわかっているから。彼とのキスを。
それは『彼』に触れられても、きっと。彼は、そういう男だ。



「会計してくるね」
「っ、はい!──って!わわわわわたし、自分で買います!!」

あまりにも自然に言われ、反射的に返事してしまったけど。買って頂くつもりなんて微塵もない!!慌てて制止するも、彼は涼しい(そしてやっぱりきれいな)お顔で言い放った。

「俺が着て欲しいんだからいいの」
「でも…」
「未結ちゃん」
「……」

もう反論できない。
申し訳ない気持ちで一杯になりながらも…有難く、お言葉に甘えることにした。

───────☙

「ええ。村上様とは、主人が何度かお仕事をご一緒させて頂いておりますの」
「わ…そうだったんですか…!」

会計の傍らの雑談で。麗さまと店長さんとは、店長さんの旦那様繋がりだったことがわかった。…よく見れば店長さんの左手薬指には、指輪が光ってる。
ちょっと安堵した矢先、バッグの中で携帯が着信を知らせ震えた。取り出して見たら…噂をすればなんとやら。

「流星さまです…」
「出ていいよ。見える所には居てね」
「ぁ…じゃあ…」

失礼します、と断りを入れて。少し離れた壁際まで移動し、通話を始めたわたしに。彼と店長さんの会話は…聞こえなかった。


「──それにしても、元カノに今カノの服選ばせる男って、なかなか居ないわよ?麗くん」
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