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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2
───────☙
「ファミレス来んのマジで10年振りくらいだわー。あ、この季節限定のやつ食ってみてーかも」
──さて、目の前には…興味津々でメニューを眺める彼。さっきまでの圧は何処へやら。既に普段と変わらない飄々しさだ。
「あの…流星さま?」
「ん?」
「あの… 、ささっきの人はその…、む昔のバイト仲間で…」
「元彼だろ?」
!!!
彼の視線はメニューに落とされたまま。声だけが刺さった。
「いくら俺でもわかるって。野郎あんだけオーラ出してりゃ」
「お、オーラ?」
「あーこれ多分男にしかわかんねーよ」
そう言って彼はメニューを差し出してくれた。食べたいものがあれば追加で頼めば、と。自分は…「やっぱ要らねー」そうだ…。
「怒」
「ってねーよ。俺があんな三下気にするわけねーじゃん」
バカにしすぎ、と。違う意味で怒らせてしまった。
俯きかけたところに、彼の言葉が次々降ってくる。
「俺さ、実はさっきまで超気ぃ立ってたの」
「えっ」
「今日ね、取引先の外国人CEOにハグされかけてさ。俺素で"Don't touch me!"て言っちゃって、破談にしちゃったのよ」
「え"っ」
「だから未結で癒されよーとしたらなんか変な男に絡まれてるし。マジで俺、超かわいそーじゃね?」
「……」
…ああ。俯きすぎておでこがテーブルにくっつきそう。
なんだろう。どうしてこの人って…こうなんだろう…。
「でもさ、気にしてねーのは本当だよ」
「ぇ…?」
「俺、店の外からおまえのこと見付けて、中入るまで見てたけど、おまえずーっと能面みてーな顔してんだもん」
「のっ、能??」
「あ、こいつ今喋ってる男に何っの興味もねーな。ってのがよーくわかった」
「……」
「だから気にしてない。つーかそもそも俺、"今"の未結にしか興味ねーもん」
…。本当に、もう…。どうしてこの人って、こうなんだろう。
嘘も裏もなくて、思ったことをそのまんま口にして。
「てか未結おまえ、白玉食ってたの?共喰いじゃん」
「と…?!〰〰何言ってるんですか!」
だから、こちらも本音をぶつけられる。『けんか』ができる。
この人は、そういう男だ。
「しっかしほんと、俺でよかったな」
「っ、え?」
「これが麗だったら、今頃あの小僧さらわれてるよ」
…こんな恐ろしいことを、平然と言ってのけてしまうのも。