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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2
──わたしの表情が、答え。
それを見た彼は「やっぱな」と頷いた。
「言ったろ?"オーラ出してた"って」
──オレ が、こいつの 初めての男 なんで。
流星さまの圧倒的な威圧感を、倖哉さんは跳ね除けた。
わたしに関しての覆せない事実と…矜恃ゆえの笑顔で。
『男にしかわからない』って、そういうことか…。
「でもさ、当のおまえがあの反応だろ?」
「の、能面てやつ デスネ…」
「そ。あとおまえ絶対、付き合った…っーか、ぶっちゃけセックスした事ある相手とは友達になれねータイプだろ」
「せ、セ?と、友??」
直接的な言葉を浴びせられ続け、麻痺しかけた頭で思い起こしてみれば。…その通りだ。一度そういう特別な関係になった人とは、わたしは友達には…なれない。
「俺もそう。絶対ムリ」
自分とわたしは同じ。それが判ったからむしろ儲けもの。
だから、気にする必要がない。そもそも──
「言ってんじゃん。俺は"今"の未結にしか興味ない、って」
そう言って彼は、わたしを抱きしめ肩口に顔を埋めた。
「……」
やや硬質な髪に肌をくすぐられ、身をすくめながら。
・・・よくよく思い出せば、彼の言っていることは最初から何も変わっていない。それはつまり、それが彼の真実ということ。
「ま、そりゃちょっとは嫌だけどね」
ゆえの、『Don't touch mine』。…本当にこの人は嘘をつかない。いや、つけない。自分を良く見せようとか、装いとか偽りとか、そういうものが無い。いつだって彼は彼だ。
…倖哉さんはどうだったろう。
一緒にいた時間は短かったけど、楽しかった。
『はじめて』の時も、その後も、優しかった。
だけどやっぱりわたしは、いつも何処か頑張ってた。
それは多分…いやきっと、本当は気付いていたから。
倖哉さんはいつも『装って』いた。
いつも本心は隠されて、彼は彼じゃない気がした。
だから何とかしたくて試行錯誤しても、苦笑される。
それが続いて…つらくなって。
あぁ…嫌なこと思い出しちゃったな…。
わたしからお別れを告げた時、倖哉さんは。
すごくホッとした顔をしたんだ……。