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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2
「…なんで泣きそうなの?」
いつの間にか、キスをしようと顔を寄せていた彼と目が合った。その瞳に映るわたしの表情は…曇っている。
訝しんだ彼の表情は、何かを思い付いたらしき瞬間に険しくなった。
「オイまさかおまえ、あの小僧にDVされてたんじゃねーよな?!だったら話違げーぞ!!あ、能面みてーだったの、怖くて固まってたからか?!」
「?!いやいやいやそういう系は無いデス!!」
渾身の力を込めてさっき以上に首を左右に振って。
もはや刺し殺されそうな鋭さの眼差しを解かせた。
「ちょっとその…思うところが…」
「あ、そ。…まー色々あるわな、そりゃ」
聞かねーけど。と小さく溜息をついて。
彼は唇ではなく、額にキスをしてくれた。
「……」
その優しさが、なんだか無性に心にしみて。
「…だからなんで泣きそうなの?」
「…。なんでですかねっ」
「わかんねーよ」
しれっと、尤もな返事。…本当に、この人という人は。
嘘がなくて、裏がなくて、いつでもありのまま。
わたしが好きになったこの人は、そういう男だ。
「──ま、話まとめると俺が興味あんのは"今"の未結と」
「…!」
「この下」
ぐい、と着ている服の襟ぐりを引っ張られて。
そこから覘く素肌を一瞥した後、わたしを見上げた彼の瞳はもう…雄のもので。
「俺もう限界。しよ、未結」
返事をするより先に、唇を唇で塞がれた。…強引で、有無を言わさないのも流星さま。面喰らうことも多いけど、今はこの人のそういうところがたまらなくいとおしくて…救いだった。
────☙
「ん、ぁ…っ、…っ」
はだけられた上半身に、キスが落とされていく。
頬から顎の線、耳、首筋、鎖骨と、ゆっくり下りながら。
「ん…っ」
そのひとつひとつに、肌が震える。腰が、ざわつく。
…なんだろう、いつもより……
「は…っ、んっ、ぁ…あっ」
触れるだけだったキスが、痕跡を刻むものに姿を変えて。鎖骨、首筋、顎の線から頬、耳と、遡ってゆく。
わたしはそのひとつひとつに甘さが混じった吐息を漏らし、下肢を震わせた。
…やっぱり。なんでだろう…、いつもより……
「…なに、今日。どした?」
「ひッ…」
ビクン!と全身が跳ね震え、悲鳴にも似た声が漏れたのは…
耳元で愉しそうに囁かれたせい。
「感度上がってる」