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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2

『オイ流星テメー今どこだ!?!』

その怒声は、スピーカー状態じゃない携帯からでもハッキリと聞こえた…気がした。

彼が『彼』と約束を交わしたのは、彼が相手先を怒らせ、商談を破談にしてしまった帰り道での電話で。
そして電話を切った直後、彼はわたしの姿を見付け…その瞬間『彼』との約束は頭からすっぽ抜けたらしい…。

「俺ー?アレよアレ。メンタルケア中。え、なに麗お前、2時間ずっとそこにいたの?すげー。俺のこと大好きじゃん」

…メンタルケアって。そして恐らくはブチ切れていらっしゃるだろう『彼』に、こんなこと言えちゃうのがもう、流石というか…。脱力するしかなかった(それにしても麗さま、2時間待ってくれたんだ…優しいなぁ…)。

…どうしよう。知らなかったとは言えわたしもその『2時間』に加担(?)してしまったわけだし、謝った方がいいのかな…?!

「じゃなー」

──と思っていたら、電話が終わってしまった。…え、え?!わたしが聞いた限り、何も解決してない気が…。

「いーよ未結。気にすんな。そもそも俺が気にしてねーから」
「……」

そしてこの、安定の言い種。…本当の本当に、この人は。

全てが自分中心で、いつだってマイペースで。したいようにしているだけなのに、いつもこちらが引き寄せられて、夢中になって。気付いた時には置いていかれて。
本当に、この人には敵わない。昼も…夜も。

…たぶん、この先も、ずっと。この人はそういう──…


「まーそんな訳でこれから出るから、10分後に玄関集合な」
「はぁ…、わかり…って、え?!ど、どこ行くんデスカ?!」
「麗んとこ。怖いから一緒に来て」
「……」

…どの口が言っているの。自分が煽ったくせに。
自室に移動した彼に着いて歩き、部屋着から再びワイシャツを着込む様子を半ば呆れ気味で眺めた。あぁ、わたしもまた着替えなくちゃ…

「まそりゃ冗談だけど、麗もおまえ見りゃ落ち着く筈なんだよね。おまえ、俺らにとっての鎮静剤だから」
「…なんですかそ」
「だから俺あん時大人の対応できたんじゃん」

…倖哉さんのことだ。

「おまえ、あの三下にもう1ミリも気持ちねーよな?」
「は、はい!」

鋭い眼。何でまた蒸し返すのか。…不安、なのかな。
打ち消すべく力強く頷いたら…彼は、笑顔。よかっ…

「なら心置き無く潰せるわ」

た?
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