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BeLoved.【蜜月記】
第15章 【裏】BeLoved.
──あれから、半年。
おばあちゃんと暮らしていた、2DKの賃貸マンション。
わたしは今もここで暮らしている。
彼ら…家政夫さんたちと一緒に。
狭いながらもなんとやら、毎日とても賑やかで…楽しい。
「で、どーすんの?未結サン」
「飯冷めちゃうよ?未結さん」
「えっ?…あ…」
我に帰れば。彼らが揃ってわたしを見下ろしていた。
───そうだそうだ。お風呂かご飯か訊かれてたんだ。
どうしようかな。お腹はすいてるけど、お風呂にも入りたい。迷っていたら、麗さんが上体を屈めて顔を覗き込んで…それはそれは悠々たる表情で畳み掛けてきた。
「それとも、俺にする?」
「!!!」
キスができそうな近さまで寄せられたきれいなお顔。
…反射的に硬直してしまう。そして麗さんの肩越しに、「うーわっ」と辟易しきった表情の流星さんが見えた。
「なんでお前ってそーゆー寒いコト平気で言えんの?」
気持ち悪っ、と。組んだ両腕の外側を両手でゴシゴシと擦りながら言い捨てる流星さん。…初見は無愛想で怖い印象だったけど、実際のこの人はあけすけで、ハラハラするくらい思ったまんまを口にする。
嘘も偽りもないから、信用できるんだけれど。
「"いつもの" しましょうか って意味だよ、ボンクラ」
どんな妄想してんだよ、と。思いっきり蔑みの言葉と瞳を刺し向ける麗さん。…この方もまた歯に衣着せぬ物言いで、整った外見も相まって…なんと言うか、怖い。
でも、わたしに向ける言葉と瞳は、どんな時も優しい。
「来て、未結さん」
「、はい」
だからこうして、言うこと聞いちゃうんだろうなぁ…。
テーブルから引き出され、食卓に背を向けて置かれたダイニングチェアに、促されるまま座ってしまった。
"いつもの" の格好だ。