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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
「うわぁ……っ」
さてさて。あっという間にその日を迎えて。
今のわたしは……達成感でいっぱいだった。
画面越しでしかお目にかかれなかった場所に、辿り着いたから。…わたしが宿泊予約の手配をして支払いをして、わたしが借りたレンタカーで、わたしの運転で、彼らを連れて!!
通されたお部屋で、まず目に飛び込んだのは…絶景。
大空の下、遮るものがない見渡す限りの山並み。手前には広い芝生に木立、遠くには麓の街並みや、湖のようなものまで見える。
気象条件が揃えば、これが一面の雲海になるんだ…。見られないかもしれないけど、想像しただけで胸が踊ってしまう!
内装もモダンで落ち着く。床はフローリング張りで、広いのに居心地悪くない。大きいサイズのベッドがふたつに、襖で仕切れる小上がり和室にはお布団がひとつ、既に敷かれてる。
きっと到着してすぐに休めるようにとの配慮よね。…心遣いまで素敵すぎる!
「…おーい麗ー。生きてるー?」
「…うん、まだ死ねねぇもん…」
すごいすごい、とはしゃぐわたしとは正反対に…彼らは半死半生だ。
「…お世話になります…、…些少ですが」
「…すみません、私からも…」
案内してくれた仲居さんの去り際、彼らがそれぞれ心付けを手渡した。その手も若干震えて…って!それはわたしが渡すつもりで、用意もしていたのに!
おたおたしている間に「ごゆっくり」と言い残され、部屋にはわたしたちだけになった。
「……」
その途端糸が切れたように、深い溜息と共に彼らは揃ってソファ(これもかなりの大きさ!)に倒れ込んだ。…疲れちゃったのかな?
移動中の車内ではあんなにやかましかったから。