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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
「……ちょ…っ!だめっ…、ここじゃ…っ」
お湯に浸かったまま。背中から、包み込まれるように抱きしめられたまでは良かったものの。
首元へのじゃれつきに、段々と色がつき始めたことに気づき慌てて訴えた。
「なんで?景色見たくねーの?」
…それに対しての、この呑気な斜め上の返し。
確かに、これでもかと言う程の絶景。見たい。…いや、わたしが訴えたいのはそんなことじゃなくて……ここは外!外です!!
「部屋付きの露天風呂なんてほぼほぼ室内だろ」
「ななな何を言って」
「しよ、未結」
抱き竦める腕に力が籠る。それは、反論も拒絶も無意味だということを雄弁に物語るもの。
頑なだった全身から、知らず知らずのうちに力が抜けていった。
…こういう時は確かに、わたしは『何も出来ない』な…
「…んんっ」
口付けが何度も与えられる。入湯の邪魔にならぬよう髪をまとめ上げたせいで、剥き出しになったうなじへと、何度も。
「〰〰っ…、ゃ……っ」
くすぐったさと…内側から襲ってくる、腰がぞわぞわ震える感覚。身動きが取れないせいで、それは直で伝わり続る。
そのうえ、お湯に浸かっているのと湯気のせいで…いつもより身体が熱い。呼吸も少し苦しい。…頭もぼうっとする…
「未結」
「、ぁ…?」
呼び掛けで我に帰ったら、口付けが止んでいた。
わたしの訴えが届いたか…いつもの気まぐれか。
安堵と…それとは違う別のものを感じているうちに。
「立って」と抱き上げられ、湯船と同じ高さにある床の上に、俯せにされた。
石畳のほのかな暖かさが、肌に触れて…すぐ。
「…!!っ、あ、やあぁんっ!」
…外だというのに、はしたない声を響かせてしまった。
だって、晒け出された背中に、なんの前触れなく口付けられたから。