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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
……みんな見てる。
ローシーズンの、しかも平日とはいえ、わたしたちの他にもお客さんは何組かいる。
レストランまで来る途中の廊下やロビーでも、薄々感じていた。…みんな、というか、女性客たちが。チラチラと視線を向けて、見てる。…彼らを。そして色めき立って、浮ついてる。
…そうか。わたしは毎日見てるから麻痺しかけてたけど、彼らは『整っている』んだものね。
揃って高身長、無駄のない身体、纏う雰囲気。…まして今は着ているもののせいか、…なんだろう。色気まで醸し出している気すらする。
しかし、そんな彼らの交わす会話は……
「──で、そこの常務が俺のこと”絵に描いたような3高ですねぇ”て言ったの。3高だよ?今どき言わねーよな」
「お前は“4高“だもんな、流星」
「?なんで」
「高学歴、高収入、高身長、高速発射」
「ケンカ売ってんのかヘタ麗」
…この内容だ。(…高速発射??)
注がれている熱い視線にも、全く動じていない。
いや、多分気にも留めてすらいない。
「……」
夜目遠目笠の内、とはいうけれど。
実態(?)というか…素の彼らは『男の子』だ。
それを知っているのはわたしだけ。
それをこんな間近で見られるのも──ううん。見ていいのは、わたしだけ。
「おまえまで何笑ってんだよ、未結」
「え、いまの意味わかったの?未結」
「っ、ひぃえっ」
咎められても、むにぃっと片頬を摘まれ、「いいえ」の発音がおかしくなっても。笑顔(というかにやけ顔…)は、消せなかった。
だって。美味しいお食事だけじゃなく、独占欲と…優越感まで、味わえてしまったんだから。