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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ

「ごちそうさまでした」

心ゆくまでお食事を堪能して。お腹も心も大満足で席を立った。

お部屋に戻る道すがら、彼らに感想を尋ねたら、揃って「美味かった」との答え。よかった。喜んでもらえた!


「でも、未結見てる方が楽しかったよ」
「おまえずーっとニヤニヤしながら食ってんだもん」
「そっ?!そんなこと…」

…あるか。

今更ながら恥ずかしくなって。自分の両頬をぺしぺしと叩いていると、何故か前を歩いていた流星さまがふらっと脇道に逸れた。

「悪りー、俺タバコ」

彼が親指で差した先には、『喫煙所』のプレートが掲げられたガラス張りの小部屋。ああ、食後の一服かぁ…

「そのまま帰ってこなくていいよ」
「っ、れ…」

綺麗なお顔でさらりと毒を吐く麗さまに、わたしが面喰らってしまった(いつものことだけど)。

「先に部屋戻っていーよ、未結」
「っ、り…」

案の定、流星さまは動じない。それどころか去り際にサッと身を屈め…わたしにキスをして行った。
触れるだけの軽いものだったけど、それはれっきとした『彼』への『仕返し』。…他に人がいなくてよかった。


「未結おいで。行くよ」
「あ…、れ、麗さまはいいんですか?煙草…」
「うん、今はいいかな」

…麗さまも動じていない。彼の空気に変化はなかった。


「……」

激務、重責、不規則。そんな日常から彼らを解放してあげたくて、この旅行に連れ出したのだけど。…なんだか普段と変わらないなぁ…。
我が道を行く人たちだから、何処に居ても、流星さまは流星さまだし、麗さまは麗さまだ。


──────☙

「ちょっと寄っていい?」

足が止まったのは、お土産ものや名産品が並ぶ売り場。聞けば、お姉様の羅々さまから「買ってきて」とリクエストされたものがあり、彼曰く「さっさと済ませときたい」そうだ…


「あっ、わたしも紫にお土産買おうっ」
「紫ちゃん?…あぁ、うん。そうだね」

親友の紫とは、夏に会ったっきり。なんでも、彼女はあれから副業を始めたそうで、今まで以上に忙しくなってしまったらしい。

「お土産渡すからって口実に、会えないかな…」
「忙しいんでしょ?困らせちゃ駄目だよ、未結ちゃん」
「…ですよね。…配送してもらいますっ」

彼の気遣いに頷き、それぞれ目当てのものを購入して。わたしたちはお部屋へ引き上げた。
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